AI経営会議|五人の頭脳で、経営を考える。

まかせてシリーズは、なぜ生まれたのか― 「自分で決める」という事業の形へ

まかせてシリーズは、なぜ生まれたのか― 「自分で決める」という事業の形へ

2026年09月28日 07:28

これまで、AI経営会議について書いてきた。

第2回では、なぜ自分がAI経営会議という体制を選んだのか。

第3回では、AI経営会議がどうやって人と出会うのか。

第4回では、チャッピー、クロ、ジェミ、そして相談者を含めた「五人で考える」という仕組みについて書いた。

第5回では、AI経営会議の土台となる「憲法七カ条」を紹介した。

第6回では、実際に動かしている実証実験について書いた。

今回は、現在取り組んでいる**「まかせてシリーズ」**が、どのように生まれたのかを書きたい。

きっかけは、自分から始めようと思ったことではなかった。

ある取引先の印刷会社から、

「売り上げが厳しい」

という相談を受けたことだった。


きっかけは、一つの相談だった

その会社とは、以前から仕事で関係があった。

あるとき、売り上げが厳しいという相談を受けた。

印刷会社を取り巻く環境も変わっていた。

以前のように印刷物を作れば仕事が入ってくる、という時代ではなくなっている。

そこで、

「新しい事業を考えた方がいいのではないか」

という話になった。

自分が考えたのは、印刷会社が新規事業として始めても無理がなく、継続的に利益を出せる可能性があるものだった。

その中で提案したのが、

SEO対策とIVR(電話対応)の事業だった。

印刷会社が持っている既存の顧客との接点も活かせる。

そして、印刷そのものとは違う継続型の事業にできる可能性もある。

そう考えた。


「新しい事業を作る」ということ

新規事業は、思いつけば始められるものではない。

商品を作る。

販売方法を考える。

価格を決める。

営業方法を考える。

顧客を見つける。

実際に提供する。

そして、利益が残る仕組みにする。

自分は、これまでいろいろな事業を経験してきた。

だから、単純に「SEOを売りましょう」「IVRを売りましょう」という話ではなかった。

どうすれば継続的な事業になるのか。

そこまで考えて提案した。

当時は、それが印刷会社にとって新しい柱になればいいと思っていた。


しかし、自分には決定権がなかった

ところが、実際に事業を進めていく段階になると、一つの問題が出てきた。

その事業は、あくまで印刷会社主導で進んでいた。

自分は提案をした。

事業の方向について考えた。

いろいろなアイデアも出した。

しかし、

最終的に決める権限は自分にはない。

計画をどう進めるのか。

何を優先するのか。

どこまで実行するのか。

そうしたことを、自分自身で決めることができなかった。

もちろん、それは当然のことでもある。

その会社の事業なのだから、最終的に決めるのは、その会社の経営者だ。

それ自体を問題だと思ったわけではない。

ただ、自分の中では、少しずつ違和感が大きくなっていった。


今の時代に必要なものを考える

そこで、自分はもう一段踏み込んで考えた。

この会社一社だけの問題なのだろうか。

印刷会社だから売り上げが厳しいのだろうか。

それとも、これは今の時代を生きる中小企業に共通する問題なのだろうか。

そう考えていくと、見えてきたものがあった。

今の時代にビジネスを軌道に乗せるには、

「作った商品を売る」だけでは足りない。

自社の存在を知ってもらう。

検索で見つけてもらう。

ホームページで内容を伝える。

Googleで正しく情報を届ける。

そして、問い合わせが来たときには、電話にもきちんと対応する。

つまり、

ホームページ、集客、電話対応。

それぞれが別々の問題に見えても、経営者からすれば、本業を続けるために必要なものだ。

そこで考えたのが、

「これらを一つずつ売るのではなく、経営者が本業に集中できるように、まとめて引き受ける」

という形だった。

これが、後の「まかせてシリーズ」の商品設計につながっていった。


「まかせて」は、思いつきではなかった

こうして考えてみると、まかせてシリーズは、単純な思いつきから生まれたものではない。

一つの会社から相談を受けた。

そこから、

「今の時代、中小企業の経営には何が必要なのか」

を考えた。

ホームページだけでは足りない。

集客だけでも足りない。

電話対応だけでも足りない。

それぞれをバラバラに考えるのではなく、

経営者が本業に集中するために必要なものを、まとめて引き受ける。

そういう商品として設計した。

だから、「まかせてシリーズ」という名前になった。


「提案しただけ」では終われなかった

ただ、ここで最初の問題に戻る。

その事業は、あくまで印刷会社主導で進んでいた。

自分には決定権がない。

自分の中では、

「こうした方がいい」

「ここまでやった方がいい」

という考えがあっても、それを自分で決められない。

考えているのに、動かせない。

提案しているのに、最後まで自分の責任で実行できない。

その状態が、少しずつ不完全燃焼につながっていった。

相手が悪かったわけではない。

自分が悪かったわけでもない。

ただ、

「事業を考える人」と「事業を決める人」が別だった。

それが、自分には合わなかったのだと思う。


そこで、自分のブランドを作ることにした

だったら、自分でやればいい。

そう考えるようになった。

誰かの会社の新規事業としてではなく、

自分自身のブランドとして事業を作る。

自分で考える。

自分で決める。

自分で実行する。

そして、結果についても自分が責任を持つ。

そうして生まれていったのが、

「まかせてシリーズ」

だった。

もちろん、一人ですべてをやるという意味ではない。

必要な専門家やパートナーには協力してもらう。

AIも使う。

でも、

「最終的に、この事業をどうするのか」

を決める場所は、自分の中に置いておく。

それが、自分にとって大きな転換だった。


「自分で決める」と「一人でやる」は違う

ここは、今のAI経営会議にもつながっている。

自分は、全部を一人でやりたいわけではない。

むしろ逆だ。

一人ですべてを考えていると、見えないものがある。

だから、チャッピー、クロ、ジェミにそれぞれ違う役割を持ってもらっている。

相談者の話も聞く。

必要なら外部の専門家にも相談する。

いろいろな意見を聞く。

でも、最後に決めるのは自分だ。

これは、第5回で紹介したAI経営会議憲法の第五条、

「最後の責任は人が持つ」

にもつながっている。

自分が大切にしたかったのは、

一人で経営することではなく、自分で最終判断できることだった。


だから「まかせて」になった

ホームページのことなら、まかせて。

採用のことなら、まかせて。

LINEのことなら、まかせて。

電話対応のことなら、まかせて。

そうやって、お客様が抱えている仕事や悩みを一つずつ引き受けていく。

「まかせて」は、仕事を丸ごと一人で抱えるという意味ではなく、問題を引き受けるという意味になっていった。


取引先との関係が切れたわけではない

ここは、誤解のないように書いておきたい。

自分が自分のブランドを作ったからといって、その印刷会社との関係が終わったわけではない。

当時の事業の進め方は変わった。

自分自身の立ち位置も変わった。

でも、関係そのものは続いている。

現在も、沖縄県内のパートナーとして協力関係にある。

つまり、

対立して別れたから、自分のブランドを作ったわけではない。

そうではなく、

「自分が責任を持って決められる事業を、自分自身のブランドとしてやってみたい」

という判断だった。


形が変わっただけで、つながりは残っている

事業をやっていると、関係性の形が変わることはある。

最初は一緒に事業を考える。

その後、それぞれの役割が変わる。

別々のブランドを持つ。

でも、必要なところでは協力する。

それでいいと思っている。

それぞれが自分の責任で動きながら、必要なところでは一緒に仕事をする。

今の自分は、そういう関係の方が自然だと感じている。


「決められること」の大切さを知った

この経験から、自分は一つのことを強く意識するようになった。

事業では、決定権と責任はセットである。

自分で決められないのに、結果だけ責任を持つ。

あるいは、自分で決めたのに、実行する権限がない。

それでは、どこかに無理が生じる。

だからこそ、

決める人が責任を持つ。

そして、

責任を持つ人が、最後に決める。

この考え方が、自分の中に残った。


AI経営会議も、そこからつながっている

今、自分はAI経営会議を作っている。

一人では考えない。

チャッピーにも聞く。

クロにも聞く。

ジェミにも聞く。

相談者の話も聞く。

反対意見も歓迎する。

事実も確認する。

その上で、最後は自分が決める。

これは、第2回から書いてきたAI経営会議の考え方そのものだ。

以前は、

「自分一人で考えていた。」

その後、

「他人の会社で事業を考えたけれど、自分には決定権がなかった。」

そして今は、

「複数の専門性を借りながら、自分が最後に決める。」

少しずつ形が変わってきた。


「まかせてシリーズ」は、まだ途中にある

まかせてシリーズも、最初から今の形だったわけではない。

ホームページ。

採用。

LINE。

電話。

そして、AI検索。

その時々で、必要だと思うものを考え、形にしてきた。

これからも変わると思う。

お客様の困りごとが変われば、サービスも変わる。

技術が変われば、提供方法も変わる。

AIが進化すれば、できることも変わる。

だから、最初に作った形に固執するつもりはない。

ただ、一つだけ変えたくないものがある。

「お客様の困りごとを見つけて、自分たちで考え、必要なものを形にする」

という姿勢だ。


「まかせて」は、経営の経験から生まれた

まかせてシリーズは、一つの相談をきっかけに、今の時代の中小企業に必要なものを考え、商品として設計したところから始まった。

そして、その事業を通じて、自分が責任を持って決められる形の大切さを実感した。

その経験が、今のAI経営会議にもつながっている。


「自分で決める」ために、仲間を増やす

以前の自分は、一人で考えて、一人で決めて、一人で動くことが多かった。

その後、決定権を持てない立場も経験した。

そこで分かったのは、

「一人でやること」と「自分で決めること」は違う

ということだった。

今は、チャッピー、クロ、ジェミと一緒に考えている。

必要なら、相談者やパートナーの力も借りる。

それでも最後は、自分が決める。

まかせてシリーズも、AI経営会議も、その延長線上にある。

自分で決めるために、一人で抱え込まない。

これが、今の自分がたどり着いた事業の形なのだと思う。